機関投資家が仮想通貨に参戦!?
ビットコインを爆買いして爆上げ↑↑するんやろ!?
…??
(機関投資家を、壊れた買い上げマシーンと思っているな?)
この記事の概要
「機関投資家って知ってますか?」
何かと「機関投資家が買う!先物!ETF!」が話題になる仮想通貨ですが、そもそも機関投資家って何?という話は聞くことが少ない気がします。
そこで、個人的に経験があるこの分野を、数回に分けてお話しします。トレードとは直接関係なと思いますが、金融リテラシー向上の一助となれば幸いです。金融関係への就職希望の人とか、就職一年目くらいの人とかにちょうどいいかと思います。
また興味を持って掘り下げ、投資家ごとの買い手の事情などをわかってくると、需給の歪みをとらえた美味いトレードアイディアが浮かびやすくなると思います。
機関投資家ってそもそも何?
デデーン、Wikipedia〜〜〜〜
機関投資家(きかんとうしか、英語: institutional investor)とは、個人投資家らの拠出した巨額の資金を有価証券(株式・債券)等で運用・管理する社団や法人である。保険会社、投資信託、信託銀行、投資顧問会社、年金基金など。財団もふくむ。
引用元 https://ja.wikipedia.org/wiki/機関投資家
要するに会社や組織でお金を運用する人たちですね?
話は聞かせてもらった!つまりロスチャイルドの陰謀で財閥が買い上げるんだな!
○ックスはユダヤ系だしクジラが買うから七月爆上げ!!BTC年末742万!!!!666!!!666!!!
きったねえハゲタカファンド!
テンションで置いていかないで
まとめるとこの通り、組織で運用するのであれば機関投資家と言えます。しかし知りたいのは言葉の定義ではなく、それがどういう存在なのか?どれくらいお金持っているのか?何を考えて運用しているのか?だと思います。(そうじゃないと、買うかどうかなんてわからないよね)
そんなわけで一度、全体像としてどんなお金があるのか、公的な資料から見てみましょう。
お金の流れから見てみよう
それではまず、機関投資家のビジネスの構造を捉えるために、資金の流れから考えていきたいと思います。
急に金の流れとか言い出したよ。これだから嫌なんだよ拝金主義者は!
うるせぇ!
いつの時代も、ビジネスはヒト・モノ・カネを見るのが一番わかりやすいんだよォ!
以下の表は日銀の公表する資金循環統計です。資金循環統計とは、国内の金融資産・負債の残高や増減などを、金融商品ごとに記録した統計のことです。要は、お金の流れをそれぞれの立場に分けて示したものです。
参考図表:2018年第3四半期の資金循環(速報)(できれば、別画面とかで横に開きながらみて下さい)
全然わからん
うん。さすがにね。今説明するから。
この資金循環統計、主に三つの分類から構成されます。
- 右側が国内のお金を持っている人たち、資金の出し手の合計を意味します。(家計など)
- 真ん中がそれを預かって運用する人たち。これが「機関投資家」になります。
- 左側がその運用先です。証券市場や融資先の企業や個人です。
以下でそれを解説していきます。
資金の出し手(家計、企業、政府)
まず右側だけど、①家計が1800兆円、これはいわゆる一般人の保有資産の合計。年金とかも含むやつですね。これに②民間非金融法人企業1200兆円、これが一般企業の口座にあるお金の合計、で③一般政府600兆円が日本政府や地方公共団体のお金。この合計3600兆円をどう運用するのかって時に出てくるのが、『機関投資家』(真ん中の「金融機関」)になります。
家計で1800兆円!?日本そんなに金あんの?徳川埋蔵金か?
人口1億3000万人とすると、一人あたり1000万円ちょっとだし、そんなもんじゃない?年金、保険もあるし。あと、個人事業主の保有分もここに入る。
機関投資家(銀行、保険/年金、投資信託他)
真ん中も大きく3つに分かれて、まず①預金取扱機関1500兆円。これはいわゆる銀行ですが、預金で集めたお金1500兆円を貸出800兆(ローン)と証券投資400兆(株、債券)に回しています。次に②保険/年金500兆円。ここからは400兆円ほど証券に流れています。
最後に③その他の金融機関700兆円。これはノンバンクとか色々含むけれど、大きなものとして投資信託が含まれていることをみてください。ただ、それでも証券に回しているのは実は150兆円くらいに過ぎないです。(③は①、②に比べて全然小さい)この列を3つ足すと2700兆円になります。
全然わからん
待って、右側が合計3600兆円なのに真ん中2700兆円だと、合計合わないじゃん。裏金か?
(統計に裏金は載ってねえよ)
…いいところに気がついたね。
合計が合わないのは、まず右側の主体から直接証券が投資されているためです。例えば家計からは307兆円の証券が直接市場に流れています。これはいわゆる「個人投資家」というやつです。
あともう一つ、預金の一部が中央銀行に行っていること(中央下)があります。説明は省略しますが、銀行は一部資金を日銀に預けなくてはいけませんので、そのお金が巡り巡って証券投資に使われています。今流行りの「日銀の買い」ってやつです。
日銀!?黒田総裁が仮想通貨買う????????
買わねえよ
このように各矢印に沿って、左のボックスにお金が流れていくことになります。専門用語を使うと、実線の矢印が機関投資家を通じた「間接金融」のマネーフローで、点線が「直接金融」のマネーフローと考えていいと思います。
なんとなくわかるけど、なんでこんな分け方してるの?
金は金でしょう…?
それは、その資金の中身によって運用が全然違うからなんだよね。
このフローの中で、それぞれの資金特性に合わせて機関投資家は運用していきます。銀行であれば、預金金利プラスαの収益を目標とするし、年金や保険であれば将来の年金や保険金支払いを賄うべく運用します。この資金特性というものは、目標リターン、リスク、流動性、及び運用の透明性など、全て運用条件に密接に関係してくるものです。
わかるようでわからん
早い話、銀行に預けてるお金でいきなりビットコイン買って、そのまま暴落して潰れられたらこまるでしょ?1000万円以上の預金帰ってこないわけだし。最悪GOXしたらどうする!!
困る!!!!!!(どん!!!)
保険や年金、投資信託も、その特性に応じた制約がある。
ここで大事なのは、当たり前だけど機関投資家はみんなの家計や企業から来たものを預かって運用しているということだね。意外と投資信託だけじゃなく、色々なお金があるでしょ。これを勝手自由に動かすってもんじゃない。
例えば、2018年5月ごろに話題になった「ゴールドマンサックスがBTC取引に参入」というニュース(NY Times)を読んでみても、こんな一文がありました。
Goldman will begin using its own money to trade Bitcoin futures contracts on behalf of clients. It will also create its own, more flexible version of a future, known as a non-deliverable forward, which it will offer to clients.
ゴールドマンサックスが顧客の代わりとして“自己資金を使って”ビットコイン先物をトレードし、より柔軟な金融商品を顧客に届ける、というものです。
ここでの自己資金というのがあくまで規模の小さいが規制の緩い「その他金融機関」としてのお金なのか、凄まじい規模の「投資銀行」としてのお金なのか、ということでインパクトが大きく変わる話かと思います。後者ならすごいインパクトだ!って当時は騒いでいた記憶があります。(結局このニュース、その後どうなったの?って感じですが…)
同じように、各国とも年金や保険、投資信託等にはそれぞれ規制を設けており、保管体制や監査体制が義務付けられていることから、参入への壁は大きく異なります。現状、仮想通貨を買うためにそのハードルがクリアすることは困難です。
このように、機関投資家と言っても属性が違うと全然中身も違うってことだね。
突然ですがここでPRです!!!
投資先(家計、企業、政府=ローンや株式、債券の発行者)
そして左はまた家計、企業、政府になるけれども、これは「投資先」と見ることができます。家計ならばローンとかの最終貸出先としての金額合計だし、企業なら借入400兆円がローン、証券1000兆円が株、債券合計になります。一般政府は主に国債が多いですね。
証券のうち上場株式615兆っていうのは、東証のデータからみた上場株式時価総額の合計と一致します。
あと、一般政府の証券1000兆も、概ね「政府の借金合計!」とか騒がれている金額と一致します。
まとめ
こんな感じで、それぞれ預金や保険、年金、投資信託などのお金の通り道があって、それに応じた資産の運用をしているのが「機関投資家」になります。国内の資金規模はだいたい上記の通りだけれど、みなさんが普段見ないような属性の金額が、かなりのウェイトを占めていることを理解ください。そして、その資金特性によって運用の仕方は大きく変わって来ます。
正直、ビットコインを買うとなると、①銀行②保険・年金は現状ほとんどなくて、③投資信託などの内でさらに規制がゆるい投資形態に限られると思います。
まとめると以下の通りです。
- 機関投資家は預かる資金特性(預金、保険/年金、投資信託など)によって組織の形態が異なる
- 預かる資金特性によって運用上の制約と運用の仕方も大きく異なる
この資金特性によって、流動性であったり格付けであったり、運用の仕方が異なります。これが市場の受給を決定させる部分があります。(例:決算や災害金支払いなど、機関投資家はどうしても売らなきゃいけない事情が出る場合)
個人トレーダーをしていると板読み、テクニカル、ファンダメンタルと言った部分に目が行きがちだと思いますが、こう言った構造的な受給の決定要因に目を向けると、新たなトレードアイディアが出てくると思っています。
それはわかったけど、じゃあ機関投資家って実際どんな運用するの?
チャートに線引きまくってフルレバでGOするん?
そこなんだけど、すでに結構長くなっちゃったから、次回でいい…?
エリオット↓ウェ〜〜〜〜〜ブ↑↑
わかりにくいやつやめて
全然わかってないんだけど…
オタク用にまとめると、
- 機関投資家と言っても、お金の性質によって色々分かれる!
- ①銀行②年金/保険の方が、③投資信託他よりデカい!
- ビットコイン買うなんてその③くらいだけど、まだまだハードルがある!
って感じかも。
それならわかる!!!!!!
というわけで次回、機関投資家の「アセットオーナー」について!に続きます。
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