ご紹介
Bitwiseのレポートの話するだけでいいなら書くよ!
— ∵ @コインチェック (@btc_dakara) April 4, 2019
出来高?
そう言えば、ブラジルだかでビットコイン買われてる〜〜って話題になってたね。
トレードマイニング()とかって言う取引もあるくらいだから、そのままの数字を鵜呑みにするわけにも行かないね。
どういう見方があるのか、一つ学んでみましょう。
捏造される出来高
2018年以降、聞いたこともない取引所が次々にできており、それらが非常に大きな出来高を表示していることから、出来高の捏造を疑う声は多くありました。最近では、現在アメリカにてビットコインETFを申請中のBitwiseがSECに対して行ったプレゼンテーションに、出来高捏造を分析する部分があり、大きな反響を呼んでいます。
出来高が捏造される理由は、先日寄稿させていただいたバイナンスの収益構造に関する記事でも触れた上場手数料を稼ぐためです。出来高のある取引所のほうが上場手数料を高く設定できるためです。
それが実際の出来高であれば理想的ですが、偽造の出来高であっても上場される側は知らぬふりをして、ICOで買ってくれた投資家に「上場してから、こんなに出来高があるぞ!」と堂々と説明することができます(上場がゴールの詐欺であっても)。
加えて、無名な取引所にとってはランキングサイト上位に表示されることで、取引所自身が発行している取引所トークンのマーケティングにもつながる側面があります。つまり取引所側にとっては、モラルに反しても出来高を捏造することはメリットだらけなわけです。
出来高が多い=人気の取引所!
って思わせるためですね。
実際の出来高はいくらなのか?Bitwiseのレポート
アメリカでビットコインETFを申請中のBitwiseという会社が、規制当局が持つ懸念点に関して発表したプレゼンテーションがとても優れていたので紹介したいです。
SECは現時点ではビットコインETFに関して次の懸念点を挙げています:
- ビットコイン市場は規制が行き届いていないのではないか
- ビットコイン市場は操作されやすいのではないか
- ビットコインの安全な保管はどうするのか(カストディ)
- ビットコインETFの参照価格は?分岐やエアドロップはどう扱うのか
- ビットコイン市場は流動性が十分なのか(スプレッドやアービトラージ)
出来高の捏造に関する分析は、ビットコインの実際の現物出来高はCoinmarketcapの表記より95.5%少ないという結論です。一方で、実態の大部分は規制された大手取引所にて効率的に行われていると主張する結果となっています。
95.5%!?
ほぼ嘘だらけやん!!
すごい数字だね…
でも、大手の取引所は「ちゃんとしてそう」っていうデータが取れてるみたい。
疑わしい取引の検出
まず、Bitwiseは各取引所の出来高、板、約定履歴(歩み値)のデータを1秒ごとに取得して分析しました。その結果、多くの取引所の出来高に疑わしい特徴が出てきました。
例えば、Coinbeneなどでは買い気配値と売り気配値の内側の値段で約定履歴が流れることや、RightBTCでは出来高の全く無い時間と大量にある時間があり、ChaoEXでは値動きや時間に関わらず出来高が一定なことなど、捏造かトレードマイニングのための自己売買が疑われる状況がすぐに明らかになりました。
約定履歴の時系列上の不審点
また、取得したデータを長期的に分析して取引所間で比較することによって、不審なパターンを可視化することにも成功しました。
まずは、1約定当たりの単位。つまり、注文の大きさです。自然な分布は少額の取引が多く、0.1BTCや1BTCなどキリのいい量の注文が多く、高額になるほど急速に減少するグラフです。一方、不自然な分布の取引所はひと目で見てわかる程度にどこかおかしい感じですね。
怪しいとこはなんかガックガクしてる!!
取引ロット順にキレイな曲線描いてるやつも、逆に怖いねww
出来高が急増するタイミングも分析されていました。ビットコイン価格は同時に動くはずなので、出来高も同じ時間に増減するはずですよね。ですが、こちらもやはり怪しい取引所ではパターンが一致しません。
また、活発に取引されている市場であればスプレッドは一瞬拡大することはあっても急速に小さくなるはずです。Coinbaseは呼び値の0.01ドル、bitFlyerも10円以下の時間がほとんどなのに対し、それ以上の出来高を自称する怪しい取引所にはスプレッドが$8などの一定額より縮小しなかったり、合理的とはいえない位置に固定される傾向がありました。板取引のふりをした呑み業者なのでしょうか。
板取引のフリをした呑み業者なんて、あり得るの!?
そりゃ取引所側が開示してなきゃ、いくらでもできるよね。
情報量的にも絶対優位だしなあ。
Bitwiseによると歩み値の分析、出来高の分析、スプレッドの分析すべてにおいて不審な点がなく、1日に100万ドル以上の出来高がある取引所は世界に10ヶ所しかない模様です。
バイナンスに関しては一部アルトコインに出来高捏造の疑いがあると先日寄稿した記事で述べましたが、ビットコインに関してそのような傾向はなかった模様です。
まとめ
Bitwiseによると出来高が信用できる10ヶ所の取引所の間では非常に市場が効率的で、しかも現物出来高をこれらに限ればCMEの出来高の比率は大きく、規制をかいくぐって操作することは難しい。また、捏造出来高をすべて排したこの出来高でも、ゴールドとの比較で時価総額に対する流動性は十分だ、とのことです。
当然、私を含めこれらの10社以外を利用する方もいるので、実際の出来高が過小評価されている傾向はあると思います。しかし、信用できる取引所を選んだり、ビットコインの「実際の出来高」に下限値を設定する上では有意義な分析なのではないでしょうか。
面白かった!
面白かったし、何よりすごいのがこの記事、依頼して2時間で書き上げてきたんだよね。(トップのツイート参照)
btc_dakaraさん、何者…
前回の寄稿記事も面白いし、これに関連してるからぜひみてね!
※当サイトは引用自由です。サイトでの市場解説などにご活用ください。
コメント
ブルブルしてないな?
ABCCで取引所トークンマイニングしてた身として大変面白い記事でした
Bit-ZでもCoinbeneの例と同じ約定偽装のが動いてましたのだ
あるとりあさん
新興取引所的には、もはや当たり前の感覚なのかも…
出来高とは通貨ごとに見るものなのでしょうか?それとも取引所ごとに見るものなのでしょうか?開発陣が自前の取引所で扱ってる通貨があります。この取引所はその通貨のみしか扱ってないのに出来高捏造が疑われてます。これは単に人気があると思わせたいだけなのでしょうか?それとも、いろんな取引所で出来高を捏造する→この通貨の出来高が上がるから上場手数料をより稼げる、ということでしょうか?