概要
この記事では、資産運用やトレードを学んでいく上で参考になる本を紹介していきます。随時更新したいと思います。
資産運用を学ぶ上での体系的な考え方はこちらにまとめています。実際には資格試験が最も手っ取り早い気がしますが、職業とはしないまでも入門として学びたい人向け、またはより実践的な話が書いてある本などを、まとめていきたいと思います。
注:これを読めば儲かる!とかそういう情報は特にありません。そういう手法を自力で読み解く/思いつけるようになるための基礎を積み重ねる目的です。
アメリカの高校生が読んでいる資産運用の教科書
ジャンル:総合 レベル:最初の一冊
(2008年版)日本では、投資や資産運用に関する授業というものは教育課程にはありませんが、米国ではパーソナルファイナンスとして、公的な教育がなされています。この本はその内容を日本人向けにアレンジしたもので、2008年の本ではありますが、現代でも通用する良い本です。
(↑最初の一冊にオススメ!)
本当の初心者は、まずはこの新書から読んでください。
あくまで公的な教育ですので、トレードテクニックなどはありません。ただし、資産とは何か?負債とは何か?金利とは?といった、根幹の知識を丁寧に解説してくれています。イメージが沸かなければ、Amazonにて目次をご覧ください。
資産を守る、計正しく計測する、計画を自分で立案するといった、人生で本当に必要なお金に関する知識が、読みやすくまとまっています。(これを読むだけでも、金融詐欺に遭う確率は減ると思います。)(みなさんが求めているのは、こういったものなんじゃないでしょうか。)
また、個人の資産形成の観点に加えて、具体的な市場への投資という意味では、同シリーズの以下の本もおすすめです。
「資産運用の教科書」と重複する点もありますが、より株式市場や為替市場についての解説を詳しく説明してくれています。主に以下の3ステップで資産形成の基礎力向上を案内してくれます。
- 日々のニュースで使われる用語を正確に理解でき、マーケットの変動要因を正しく捉えられるようになる
- 株、債券、信託など金融商品について基礎的な知識を持って、怪しい所商品から自衛できるようになる
- 株式/為替市場の仕組みや、金融政策/経済環境の基礎的な見方など、市場全体を俯瞰して捉えられるようになる
…なんというか、当サイトで言っていることそのままですね。両方ともそんなに高くもなく、Kindleでサクッと読める本ですので、迷ったらまずはここから読んでみることをおすすめします!
FP3級
ジャンル:総合 レベル:最初の一冊
もはや多くは語るまいですが、基本を抑えるには現状最適な資格の一つです。ライフプランニング、タックスプランニング、ポートフォリオ管理、リスク管理、不動産/保険/年金など、人生で大きくお金をどうマネジメントするかがまとまっています。
仮に他の技術でマーケットに勝ったとしても、結局はこの分野に戻ってくることになると思います。
証券外務員二種
ジャンル:総合 レベル:二冊目
証券外務員は、金融機関に勤める方が金融商品を販売する際に取る資格ですので、それ以外の方にはあまり意味のない資格といえます。ただしその分、FPと比較しても株式市場や債券市場に関する理解や、証券分析の分野での基礎を問われる内容となっています。一種資格ではオプションについても出題され、投資を学ぶ観点ではFPの補完になるでしょう。
経済学と(経済学、ビジネスに必要な)数学がイッキにわかる!!
ジャンル:経済 レベル:初学者向け
数学が苦手な人はここから!中身はわかりやすく経済学を語りつつ、分数の計算から説明してくれてる超入門書です。なんとフリーラーニングで全ページについて200近い講座を公開してくれているという、わけがわからないくらい充実したテキストです。こういう本こそ、もっと売れていいと思うんだよなぁ…。Kindle化されてないので、売り切れていたらすみません。
ひたすらに、算数が苦手で克服したい人におすすめです。何度か言いましたが、トレードで勝つのに数字を使わないのは縛りプレーもいいとこですので…
投資と金融がわかりたい人のためのファイナンス理論入門
ジャンル:統計 レベル:初学者向け
デイトレードより長い時間軸の話なら、まずこれを読んでおけばいいっていうような基本の書です。この書では投資に必要な数学から「統計」までを簡潔に網羅しています。読みやすいのに、証券アナリスト一次のポートフォリオ理論くらいはカバーできてるんじゃないか?って感じで、アマゾンレビューの好評価にも納得しています。
儲かる手法が書いてあるわけではないですが、この本を一冊理解するだけで、金融詐欺に会う確率はグッと減ると思います(本音)
投資家のための金融マーケット予測ハンドブック
ジャンル:経済 レベル:中級者向け
金融マンにはおなじみの一冊、マーケット予測ハンドブックです。この本は各国マーケットの仕組みや各市場指標の意味など、金融市場でリスクをとるには常識として知るべきことが網羅されています。辞書的に使う意味では、私も今でもたまに参考にします。
システムトレード基本と原則
ジャンル:ポートフォリオマネジメント レベル:初学者向け
トレードの戦略の立て方を考えるならこの一冊!ここまでは少し座学的な意味合いの本でしたが、これはデイトレードとかにも通用するような時間軸に主眼を置いたものです。システムトレードとありますが、いわゆるEAやBotというよりは、「ルールベースのトレード」といった意味合いで、いかに客観的に構築したルールでリターンを積み上げるかという話をしています。(詳しくはアマゾンレビューに。)
正直、少しトレードをしている人にとっては当たり前の話ばかりなのですが、資金管理については非常にわかりやすく書いてあるので、初学者にはおすすめです。精神論的な部分が多いのが悲しいけれど、そこは他の本の定量的な説明で補ってください。
順番に読んできていると、短期トレードも中長期トレードも、リスクコントロールという意味では同じだなという結論になることかと思います。
本当にわかる株式相場
ジャンル:株式 レベル:初学者向け
本当にわかるシリーズの株式相場解説です。巷の「儲かる」を標榜するような本とは異なり、株式市場の仕組みや参加者について客観的にし説明してくれています。
ブログのような口語体ではないのでとっつきにくく感じる部分はありますが、そのぶん結論がしっかり書いてあり、説明はとても丁寧です。チャートしか見たことないけど株式がそもそもわからないという方には、この一冊でほとんどの疑問を解決してくれます。
図解入門ビジネス 最新債券の基本とカラクリがよーくわかる本
ジャンル:債券 レベル:初心者向け
債券はそもそもがややこしいし馴染みがないので、図解入門シリーズがいいかと思います、第3版も出ているんですが、Kindle版があって安く買える第3版がおすすめ。
そもそも、個人がそんなに債券市場に詳しくなる必要があると思ってません。市場ポートフォリオを考える上で、短期金利や政策金利と債券価格、株式価格の関係性を理解する、全体把握が重要だと思います。
債券運用と投資戦略
ジャンル:債券 レベル:中級者向け
銀行や資産運用会社の債券チームには必ず置いてある一冊です。債券運用の入門書としてはド定番です。ただし、債券や金利生商品そのものを運用する人に向けた一冊ですので、金利をちょっと理解してFXに活かそう、とかとは繋がりません。(アイディアのベースにはなるかもだけど)
Defiとか言って債券のレールに個人が乗る時代がもしくるなら、価値のあるスキルになるかもしれませんね。
オルタナティブ投資入門
ジャンル:オルタナ投資 レベル:中級者向け
オルタナ商品として、ヘッジファンドの紹介本を挙げます。ヘッジファンドの定義や歴史、その代表的な戦略説明やインデックスなどが触れられています。
若干出てから時間が経ってしまっている一方、非常に変化の早い業界なので少し内容が古く感じてしまう点が否めませんが、ヘッジファンドの紹介としてはおそらく一番わかりやすくまとまっています。世のヘッジファンドに対するあやふやな理解を、一掃してくれる一冊です。
ヘッジファンドのアクティブ投資戦略
ジャンル:オルタナ投資 レベル:中級者向け
こちらはより具体的にヘッジファンドの戦略を類型化し、解説してくれる一冊です。
よくある株のロングショートやグローバルマクロだけでなく、Stats Arb(統計レラティブバリュー)や債券/金利レラティブバリュー、転換社債アービトラージやディストレスト、イベントドリブンなどの戦略について、実例やデータとともに解説してくれています。
ヘッジファンドの戦略を日本語で解説してくれている本は少なく、2019年の本ということもあって現在楽しく読み進めています。個人でもできる投資アイディアに繋がる点は多いと思います。(特にアービトラージ関連)
カラー図解でわかる金融工学「超」入門
ジャンル:デリバティブ レベル:初級者向け
オプションやデリバティブ(金融派生商品)はただでさえ難しいので悩んだのですが、おそらくこれが一番わかりやすいです。「ボラティリティを売買する」とか言う一般人には意味不明な取引のため、必然的に数学が必要になるところを、数式を避けうまく概念化して説明してくれています。
また、キャラクターがストーリー仕立てで説明してくれているので、非常に読みやすいです。ボラティリティとは?から、先物取引、先渡取引、金利スワップ、通貨スワップ、オプション、…この辺りの言葉の意味をやさしく説明しています。基本概念の理解ならこの本で十分です。(わかったいる人は、次の本や外務員試験に進んでください)
そして何よりも安い!!!
本で1188円、Kindleだとなんと540円でオプションと金融工学の基礎が理解できるのは良心的なので、おすすめです。直接オプショントレードで儲けようと言う人には物足りないけれど、オプションのマーケットへの影響を理解したいとか先物でヘッジを考えたいって人には、ここからが適切だと思います。
実務家のためのオプション取引入門
ジャンル:デリバティブ レベル:中級者向け
こちらは実際にオプション取引を行う人の、ルールブックです。金融機関でオプション取引を実際に行うセクションの人たちが、配属時に輪読するなどして学ぶものと理解ください。外務員一級よりはレベルは上です。いわゆるデリバティブ専門家が読む『フィナンシャル・エンジニアリング』などのように難解な数式は避けつつ、取引の中で絶対に抑えなくてはいけないポイントを網羅しています。
安い本ではないですし、しっかりとオプションを理解したい人向けです。ただしこれを抑えた上で、どのようなトレードをすれば儲けられるか?市場の歪みがどこにあるか?は自分で見つけなくてはいけません。敷居が高いぶん、市場の非効率性=リターンの鉱脈は大きい…といいなぁ、って感じです。
入門外国為替の知識
ジャンル:為替 難易度:初心者向け
外国為替の知識は、文庫本なんですが、国際通貨制度やその取引実態について網羅的にまとまった良著です。入門書としてはとっつきにくい部分がありますが、ここに出てくるワードを外さずに調べ物をしていけば、実務的な知識はほぼ満たされると思います。
FXという世界に入る前にも、外国為替というものは何なのかを認識しておくことは非常に重要です。スイスフランショックのように、チャートやファンダメンタルズと普段呼んでいるものでは全く対応できない構造的な動きを理解するには、この本が最適だと思います。何より、安いし。
また、本版からは少しですが仮想通貨についても触れているなど、アップデートも良好です。
[新版]バブルの物語
ジャンル:経済 難易度:中級者向け
バブルの物語はその名の通り、1600年代のチューリップバブルからこれまでにあったバブルの状況を顧み、その構造を解説してくれる本です。
どちらかというと歴史の振り返りよりも、バブル時の大衆的心理状況やその傾向を描写してくれている点が面白く、何度も翻訳されるベストセラーとなっている要因だと思います。個人的にバブルを経験した感動があったので、経験と歴史・考察を読み比べる意味でとても楽しめました。
なかなか個人的に刺さったキーワードとして、以下のものがありました。
- あらゆる人は、最も幸福な時に最も騙されやすい
- バブルの初期には、価値が測れないものに、価値が生まれたと信じてしまう
- バブルの後期には、だれもが自分だけが逃げ切れると信じてしまう
- 保有する金額と知性とは、必ずしも結び付いていない
- 崩壊の前には必ず金融の天才がいる(悪い意味で)
とくに一番最後のは、自分でバブルを体験した身としても心に残りました。思い当たりませんか…?すさまじいリターンをあげてるらしい天才とか、色々…
図や絵が多い本ではないので中級者向けにしましたが、個人的には「やっぱりいつの時代も同じなんだなぁ…」と楽しむことができました。
なお、本書は何度も訳本が出ているものですが、最新の訳は以下のようです。こっちのほうが厚いし新しいので、今からじっくり読む人にはいいかもしれません。
なるほど地図帳 世界 2020
ジャンル:地政学 難易度:初心者
上までの本を読んだ方なら理解いただけると思われますが、投資の一つのコツは「分散投資」にあります。ただし、ただむやみに銘柄分散すればいいのではなく、それぞれのリスクの要因と収益源戦を分散させることが、投資の効率性を高めるために必要です。
この地図帳では、そのリスク要因の一つ、地政学リスクを大まかに理解するためにとても便利です。毎年、様々な時事テーマについて統計値とともに解説してくれるため、小中学生でも楽しめる内容となっています。こういった大きなテーマを概念として理解しておくことは、個別銘柄の財務状況に詳しくなることよりも、結果として投資判断をクリアにしてくれると思っています。
「国際的な分散投資なんてわからないから、とりあえずおまかせ」というレベルから一歩踏み込んでポートフォリオを考えたい、そんなときに必須の常識を知る手助けとなってくれます。(意外と、本職の投資家でもためになるなぁって思います)
また、ストーリーとして触れるには以下のマンガもおすすめです。BREXITってなんだ!貿易摩擦ってなんだ!という人にも絵や図を交えてわかりやすく説明してくれます。
ファイナンス理論全史
ジャンル:統計~ポートフォリオマネジメント 難易度:初心者~中級者
ファイナンス理論の歴史です。歴史といっても、年号を覚えるとかではないので安心してください。ファイナンスの理論がどのような市場、時代背景で考案されてきて、実際に活用されたのかをまとめてくれている本です。つまり、活きた仮説→実証のサイクルをまとめてくれている本です。
上述の「投資と金融がわかりたい人のためのファイナンス理論入門」は、教科書の内容をわかりやすくまとめてくれた一冊でしたが、「ファイナンス理論全史」は、それがどのように使われてきたかを簡単にまとめてくれています。Kindleにあるし、割と薄くて読みやすいのもいい。
この文脈にない〇〇理論を見かけたら、なんで認められてないのかを考えるのが第一歩かも…
また、更新していきます
コメント
「ヘッジファンドのアクティブ投資戦略―効率的に非効率な市場」
初心者大好きパンローリング!と思いきや、きんざい出版なのですね。
ただ、こういう人間は多いのでしょう。
「実務家のためのオプション取引入門」のレビューより引用です。
“例えば、私のような化学系の人間では大学で修得する機会がない伊藤の補題など
一般的な理数系ですら扱わないところはよく考えて省いており
理系大卒なら誰でも手が出せる水準となっています。”
頭が痛くなってきますね。大学院で何を学んだのでしょうか。
一度、「トレーダー」や「投資家」と言った言葉から遠ざかってみるのが一番勉強になるのかもしれません。
債券の入門本を探すにあたって、非常に参考になりました。ありがとうございます♪